一年くらい前、母から紫陽花を分けてもらいました。
実家の縁側に母は座って、嬉しそうだったな……
「ほら、それそれ」とか、
「ああ、それがいいんじゃない」とか言って、
私に紫陽花を掘らせたのです。
母はよちよち庭まで出てきても、しゃがむことができなくなっていたので、
縁側に座って私にあれこれ言って、やらせたものです。
中古の家を買ったばかりの私は、自分に庭ができたので、大好きな実家の紫陽花を植えたかったのです。
だから、一年前、母にちょうだいと言ったのでした。
実家の庭は50年以上、様々な花を咲かせてきました。
母が好きな草花、木を大切に手入れしてきたもので、庭は美しく成長してきたのです。
紫陽花は、毎年みごとに咲き、私達家族を楽しませてきました。
そのすぐ後、7月の頭に母は股関節手術のため入院し、その後二度と、自分の庭の縁側に座ることはなかったわけです。
私はあの時、小さな3株の紫陽花を電車で持ち帰り、自分の庭に植えたのでした。
母の立派な大きな紫陽花の根元から、新しい子達が土から顔を出していたのです。わずかな葉をつけた細い枝だったことを思い出します。
今日の写真は、そのうちの1株です。
まだ、私の膝にも届かないくらいの背丈なのに、なんと蕾をつけたのです!
蕾を発見した時、私の目からドバッと涙が溢れ、
そのまま、ぼとぼとと地面に落ちました……
ああ、お母さんが、紫陽花を咲かせようとしている!
私を心配する母が、私を元気づけようと、1株にだけ蕾をつけたのでしょう。
母は天国のお花畑で楽しく、草花の手入れをしている筈なのです。
天使の力を借りて、紫陽花を咲かせ、私に合図を送ろうとしている……
強めの風が、私の頬を撫でてゆきました……
あ。やっぱり、お母さん?!
茶目っ気のあった母が、「やっと気づいたの?」と、私の頬を撫でたようです……
私は、もらった紫陽花の根が、うちの庭についたことを母に報告しましたが、その後のことは出来なかったので、ひどく残念に思っていました。
だから、今日、こういう風に感じて、ちょっとだけ、ほっとすることができました。
園芸好きな方、どう思いますか?
それから、他の2株は蕾をつけなかったのですが、大丈夫でしょうか?
来年には、蕾をつけてくれるでしょうか……
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