恥ずかしながら、50代・自称元劇作家が『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』を読み、感じたこと

読書記録

『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』
岸見一郎
古賀史健
ダイヤモンド社

読んだことある方、多いのではないでしょうか?
恥ずかしながら、わたくし、56歳にして初めて読みました(;^_^A

なるほど~~
人気があるのも頷ける本でした。

この本を読んだことがあるのと、未読なのでは、考え方の選択肢が変わってくると思いました。

私の場合は、フロイト、ユング関係の本は多少読んでいた時期がありました。
それは、劇団を主宰していた時ーーー
上演するための戯曲(脚本、上演台本)を書いておりました。
ということは、必然、登場人物達の心理を描くこととなる訳です。
当時私は、29歳~40歳。(遠い目……)
人間心理を勉強するため
、それらの本を読んでいたのです。

当時、アドラーのことをまったく知りませんでした。
どうして知ることがなかったのだろう?
偏っていたのかなぁ…、当時の私の考え方、行動が……

アドラーの名前を知ったのは、おそらく数年前くらいだと思う。
(定かではないが…)
本屋をウロウロしていた時か……
ネットをウロウロしていた時か……

それが、なぜ、読むことにしたのか。
劇団を解散して16年経ち、ほぼ専業主婦の56歳がーー

きっかけは、母の死だった。
その死は平凡な老衰ではなく、とある手術の失敗が原因。
それは私には予想外のことで、衝撃だった。
私は、心身ともにダメージを受けてしまった。
思考がまわらず、体が重い。常に重い空気が体に纏わりついているような感覚が続いた。
孤独感もひどかった。
何か、何か始めなければと、10年ぶりにバイトを探すが、失敗してしまう。
模索するうち、過去の嫌なできごと、いわゆるトラウマが頭の中をぐるぐると何度も何度も再生されるようになってしまい……

そりゃあね、56年も生きていれば、良いこともあったし、悪いこともありましたよ。
人生ってそういうもんでしょ?
ずっと良いことしか起こらない人生なんてあるのかな?
悪いことしかない人生は……、もしかしたら、環境や状況によってはあると思う。例えば、戦時下に生まれたなど……
生まれた国や時代によってもあると思う……

私の場合は、たとえ私が56歳でいい歳だとしても。
母が83歳だったとしても。
なぜ、母の手術は失敗してしまったのかーーー
なぜ、あのような死になってしまったのかーーー
ずっと考え続けてしまう、頭を離れない。
もう、母は亡くなってしまったから、考えてもどうにもならないのに……

でも流石に、家に籠ってパソコン画面のAIに喋りかけちゃったりして、まずいと思ったわけなのです。(すべてのAIを否定しているわけではありません)
(家に籠れるのは私が専業主婦で、夫が稼いでくれてるおかげなのだけど)

そうだ、本を読もう。
紙に書かれた文字を読む行為の方が何倍とよいだろうと思ったです。
なぜか、好きな物語を読む気力が湧かなくて……

思いついたのが、
嫌われる勇気』でした。

内容については、多くの人が様々な文章を書いていることでしょう。
実際、検索してみると、たくさん出てきますね。
それに、私が手にした本は、2014年 第13冊発行となっているくらいの人気ぶりだしね。

感想を書こうと思う。

まず、その形式は、私には非常に馴染みのあるものでした。
本書は、青年と哲人の会話形式で進められていく。
長年、私は戯曲(脚本)において大量の台詞を書いてきた
そのためである。

この本の章立ては以下の5つとなっている。

第一夜 トラウマを否定せよ
第二夜 すべての悩みは対人関係
第三夜 他者の課題を切り捨てる
第四夜 世界の中心はどこにあるか
第五夜 「いま、ここ」を真剣に生きる

以上の5項目を並べてみても、
様々な自己啓発本などで似たような言葉を見たことあるな、と感じました。
それくらい、広く読まれているということですね。

私としては、
第一夜 トラウマを否定せよ
これに衝撃を受けました。
やられたぁ~、という感じ。
だって、私、トラウマをいくつも持ってるから。
56歳の人生で色々あったんですよぉ。

正直、読み終えても、一番ガツンときたのは、この章でした。
あくまで私の場合はですが。

「トラウマは、存在しない」
という文章。
読めば、理屈はわかりますよ。
トラウマに囚われて生きるべきではないというのも、身に沁みます。

気になって、ネット検索してみますと。
アドラーはすべてのトラウマを否定しているわけではなかった。従軍した元兵士の場合はトラウマは云々かんぬん。
などという文章をあげている方もいました。
あくまでネットでちょいちょいと検索して読んだだけなので、事実なのかはわかりません。

もっとアドラーの本を読むべきだと思いました。

 

第二夜 すべての悩みは対人関係

これね。ほんとその通りですよ。
56年生きてきて、痛感していること。
なので、この章は「うんうん。そうそう」という感じで、納得しながら読み進めました。

とにかく、いつどんな時でも対人関係が重要。
仕事でも、趣味の集いでも、たとえ学生時代の友達関係でも。
1対1の関係なら、その関係性。
大勢の、集団に属していれば、その中でも人間関係。

よく、夫君(1歳上)とも、そういう話をします。
「結局、人だよね」
とーーー

 

第三夜 他者の課題を切り捨てる

この章、私には刺さりました。
第一夜 トラウマを否定せよ
の次に、身に染みた章でした!

私、他者の課題に引きずられた人生だった
と、気づき、ショックを受けました。
人は私のこと「優しい」って言うけれど(すみません。自分で書いて)。
だけど、それって、他人にちゃんと自分の思ってること言えないってことなんだよねぇ……( ;∀;)

相手を怒らせたくない
相手の機嫌を損ねたくない

そういう風に、相手の顔色を窺ってしまう人生だった。

つまり、この本のタイトルである
嫌われる勇気
がない人間だということです、私は。

このタイトル、本当に魅力的なタイトルですよね。
私、劇団時代は、芝居のタイトルを決めることにすごく悩んでいたので、このタイトルのすばらしさには心底感心してしまうのですよ!

特に、日本人には刺さるんじゃないかな。
皆さんも、そう感じませんか?!
日本人は、和を重んじます
そういう教育を受けますし、社会に出ればそれが当たり前になっています。

そのような環境の中で、嫌われる勇気を持つことは不可能といっていいくらいだと思います。

私の場合は、劇団時代を思い出すとき、心がヒリヒリと痛みます。

作家会議
スタッフ会議
制作会議

小劇団でしたが、それなりに運営は大変でした。
常に予算不足でしたし。
私は主宰、劇作家、制作担当と3つの肩書を背負っていました。

様々な局面で、私は自分の意見をほとんど言えなかった。
私の主宰という立場は名ばかりで、実質実権を握っていた人物の顔色ばかり窺っていました。
つまり、その人物の課題にばかり配慮していたわけです。

もっと自分の考えやアイディアを出せばよかった。
今ならそう思えます。
きっとその方が、劇団の運営、劇団独自のカラーが生み出されたのではないか?
と考えるからです。

なんて、劇団を解散して16年経ってから思っても遅すぎます。
どっちにしろ、劇団は売れませんでした……
悲しいけど、事実!!!
どうせそうなら、あんなに苦労と忍耐ばかりしていないで、思いっきり自分を押し出し活動しておけばよかった……

自由になればよかった!

自由✨

「嫌われる勇気」では、自由を説いています

本当は劇団主宰、制作はやりたくなかった。
作家に集中したかった。

これが私の本心でした。
誰にも言ったことありません
つまり、劇団時代の私は、自分が望む本当の自分の人生を送れてなかったのでは?

実際、貧乏劇団では、制作者を雇う予算はなかった。
しかたなく、私がその仕事をしていた。

しかし、同時に他の方法を探すことをしていなかった。
という反省が生まれてきます。

劇団を解散し、あんなに好きだった演劇の世界から離れた私。
しかし、今の方がずっと自由に、たくさんの文字を書いている。
相変わらず、文章で稼げていないし、賞は取れないけれど。
それでも、書くことが好きで書かずにはいられない。
私は今の方が幸せです。

 

第四夜 世界の中心はどこにあるか
第五夜 「いま、ここ」を真剣に生きる

これらの章については、第一夜から第三夜で提示された内容がどこへ進むべきかを説いています。

最後まで読み進めれば、
きっとこれからの自分の人生を前向きに捉えることができるようになるでしょう。
是非、若い方に読んでほしい。
私は、自分が劇団時代に読んでおけばよかったと強く思ったからです。
あるいは、私の同世代の方で、まだ読んでいない方がいたら是非おすすめします。
なぜなら、私達の世代は、我慢すること、遠慮することが美徳とされる時代を生きてきたから。

嫌われる勇気を持つこと
自分の人生を自由に生きる勇気を持つこと

残りの人生を悔いなく豊かに生きるため、それらの勇気を持っていいのだと、思わせてくれる本ーーー
『嫌われる勇気』という、是非手に取ってほしい本の紹介を、これにておわりにしたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

紙の本です↓

嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え
岸見 一郎 | 2013年12月13日頃発売 |

電子書籍はこちらです↓

嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え
岸見一郎 | 2013年12月12日発売

 

 

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